予防歯科について
予防歯科とは、むし歯や歯周病などが進行する前に予防することを大切にした歯科の考え方です。日常的に歯のケアを習慣にすることで、病気を未然に防ぐことができ、健康な歯を長く保つことができます。しかし、日本ではまだ「歯が悪くなったら歯医者に行く」という意識が強く、予防歯科は十分に普及していないのが現状です。
歯の健康を無視していると、病気が進んで最終的に歯を失ってしまうことがあります。歯を失うと、食事がしにくくなったり、見た目にも影響が出ることがあります。これを防ぐためには、毎日のセルフケアとともに、定期的な歯科検診が大切です。
予防をしっかり続けることで、むし歯や歯周病を防ぎ、健康な歯を守ることができます。
生涯自分の歯で過ごすために
予防歯科では、定期的に歯科医院でのチェックやクリーニングを受けることで、むし歯や歯周病のリスクを最小限に抑えることができます。たとえ自覚症状がなくても、初期のむし歯や歯周病を早期に発見することができれば、治療の負担を軽減し、健康な歯を維持しやすくなります。
日本では「8020運動」という取り組みが推進されており、これは80歳までに自分の歯を20本以上残すことを目標としたものです。20本以上の歯があれば、一生涯おいしく食事を楽しむことができ、全身の健康維持にもつながります。健康な歯を維持することは、生活の質(QOL)を高めるためにも重要です。
予防歯科のメリット
むし歯や歯周病を早期発見&未然に防げる
むし歯や歯周病は、初期の段階では自分では気づきにくいことが多いです。むし歯は痛みを感じ始めた時にはすでに進行していることがあり、歯周病は気づいた時には抜歯が必要になることもあります。定期的な歯科検診を受けることで、早期に病気の兆候を発見し、適切な対策を取ることができます。
健康な歯を長く維持し続けられる
一度削った歯は元には戻りません。むし歯の治療で歯を削ることは、歯の寿命を縮めることにつながります。修復治療によって機能を回復させることはできますが、治療のたびに歯は少しずつダメージを受け、将来的には抜歯が必要になるリスクが高まります。そのため、できるだけ歯を削らずに済むように、予防を徹底することが大切です。
見た目を美しく保てる
定期的に歯科医院でのクリーニングを受けることで、歯の表面が滑らかになり、清潔感のある口元を維持することができます。歯垢や歯石を除去することで、細菌の繁殖を抑え、歯周病の進行を防ぐことにもつながります。歯の健康を維持することは、見た目の美しさにも直結します。
健康寿命が延びる
近年の研究では、歯の残存本数が多いほど健康寿命が延びることが分かっています。また、歯を失ったままで入れ歯を使っていない高齢者は、認知症のリスクが約2倍になることが分かっています。しっかりと噛める歯を維持することで、脳への刺激が増え、認知機能の低下を防ぐことができます。
経済的な負担が軽くなる
歯科治療には費用がかかりますが、むし歯や歯周病が進行すると治療費が増えるだけでなく、治療にかかる期間も長くなります。定期的なメンテナンスを受けることで、病気を未然に防ぎ、将来的な医療費の負担を減らすことができます。
さらに、歯の健康を維持することは、糖尿病などの全身疾患の予防にもつながります。その結果、長期的に見ると生涯にかかる医療費を削減することにも貢献します。
当院の予防メニュー
PMTC
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、歯科医院で行う専門的なクリーニングです。日々の歯みがきでは取り切れない歯垢(プラーク)や歯石、バイオフィルムを徹底的に除去し、むし歯や歯周病の予防効果を高めます。
歯垢は時間が経つと歯石に変わり、歯ブラシでは取り除けなくなります。また、バイオフィルムという細菌の膜が歯の表面にできると、普通のブラッシングでは取り除くことが難しくなります。PMTCでは、専用機器を使用してこれらの汚れをしっかりと除去し、むし歯や歯周病の進行を防ぐだけでなく、歯本来の白さや透明感も取り戻せます。
ブラッシング指導
ブラッシング指導では、患者さん一人ひとりに合わせて歯科衛生士が正しい歯磨き方法をアドバイスします。定期的に歯のメンテナンスを受けていても、毎日の歯磨きが不十分であれば、むし歯や歯周病を防ぐことはできません。
毎日歯磨きをしていても、正しい方法で磨けている人は少ないのが現実です。誤った歯磨きを続けると、歯垢や歯石が溜まりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。定期メンテナンスの効果を最大限に活かすためにも、セルフケアの質を向上させる目的でブラッシング指導を受けることをおすすめします。
フッ素塗布
フッ素は、むし歯予防に非常に重要な成分です。歯の表面にフッ素を塗布すると、フルオロアパタイトという強い結晶が形成され、むし歯菌が作る酸に対する抵抗力が高まります。さらに、フッ素には歯の再石灰化を促進し、むし歯が進行し始めた部分を修復する手助けもします。
加えて、フッ素はむし歯菌の活動を抑える効果もあり、むし歯のリスクを大幅に減らすことができます。歯科医院で行う高濃度フッ素塗布と、日常的にフッ素入り歯磨き粉を使用することで、より効果的なむし歯予防が期待できます。
セルフケアについて
歯の健康を守るためには、歯科医院でのプロフェッショナルケアと日常のセルフケアを組み合わせることが大切です。当院では、正しい歯みがき方法の指導に加え、歯に優しい食習慣などのアドバイスも行っています。
歯みがき
毎日の歯みがきは、むし歯や歯周病を防ぐための基本です。フッ素配合の歯みがき剤を使用することで、歯の再石灰化を促し、むし歯予防効果をさらに高めることができます。
補助清掃用具
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを完全に取り除くことは難しいため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することをおすすめしています。特に、歯の隙間が狭い部分や奥歯の汚れは、補助清掃用具を使うことで効果的に清掃できます。
食習慣の見直し
食生活は口の健康に大きく影響します。糖分を多く含む飲食物を頻繁に摂取すると、むし歯のリスクが高まります。また、よく噛む習慣を身につけることで、唾液の分泌を促し、口腔内の自浄作用を高めることができます。
定期歯科検診について
毎日の食事や会話、笑顔に欠かせないのが健康な歯です。むし歯や歯周病は自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行していることもあります。
定期検診では、歯科医師や歯科衛生士が細かくお口の状態をチェックし、早期発見・早期治療につなげます。初期のむし歯なら簡単な治療で済み、歯を削る量も最小限に抑えられます。また、専門的なクリーニングで普段のブラッシングでは落とせない歯石や汚れを除去し、歯周病のリスクを軽減します。
健康な歯を守るために、ぜひ定期的な検診を受けましょう。
3ヶ月に1回定期検診を受けましょう
歯の検診は年1回ではなく、3ヶ月に1回の定期検診をおすすめしています。むし歯や歯周病は放置すると進行し、大きな治療が必要になることがあります。また、プラークや歯石は時間が経つほど硬くなり、歯科医院での専門的な処置が必要になります。定期的に検診を受けることで、これらの問題を未然に防ぎ、健康な口腔環境を維持できます。さらに、早期発見と早期治療により、痛みや治療費を抑えることができます。定期検診を習慣にして、全身の健康にも良い影響を与える歯のケアをしましょう。